これで中学校の平面図形の復習は終わりです。 今回は,平面図形の証明問題を考える上で必要な「証明道具」を学びます。
目次
合同・相似の証明
三角形の合同や相似を示す方法を確認します。 前回確認したばかりなので,合同条件や相似条件だけさらっと見ておきましょう。
まずは合同条件です。 合同条件は,三角形の形・大きさを確定する情報が等しいことを確認する条件でした。
\(2\)つの三角形は,次のいずれかが成り立つとき,合同である。
- \(3\)辺がそれぞれ等しい。
- \(2\)辺とその間の角がそれぞれ等しい。
- \(1\)辺とその両端の角がそれぞれ等しい。
特に\(2\)つの三角形が直角三角形であるとき,それらが合同であるための条件は,次のように表せる。
- 斜辺と他の\(1\)辺がそれぞれ等しい。
- 斜辺と\(1\)つの鋭角がそれぞれ等しい。
次は相似条件です。 相似条件は,図形の形が同じであれば良いので,合同よりも条件がゆるくなっています。
\(2\)つの三角形は,次のいずれかが成り立つとき,相似である。
- \(3\)組の辺の比が等しい。
- \(2\)組の辺の比が等しく,その間の角が等しい。
- \(2\)組の角がそれぞれ等しい。
平行の証明
\(2\)本の直線(線分)が平行であることの示し方を確認しましょう。 それは,この\(2\)本の直線を横切る直線(線分)を手掛かりに考えます。
\(1\)つの直線が\(2\)本の直線\(\ell\),\(\mathcal{m}\)と交わるとき,次のいずれかが成り立てば,\(\ell\)と\(\mathcal{m}\)は平行である。
- 同位角が等しい。
- 錯角が等しい。

また,線分の比による証明方法もあります。 前回学んだものです。
\(\triangle\mathrm{XAB}\)の辺\(\mathrm{XA}\)上に点\(\mathrm{P}\),辺\(\mathrm{XB}\)上に点\(\mathrm{Q}\)があるとき,次のいずれかが成り立てば\(\mathrm{AB} /\!/ \mathrm{PQ}\)である。
- \(\mathrm{XP} : \mathrm{XA} = \mathrm{XQ} : \mathrm{XB}\)
- \(\mathrm{XP} : \mathrm{PA} = \mathrm{XQ} : \mathrm{QB}\)

\(\triangle\mathrm{XAB}\)の辺\(\mathrm{XA}\)の延長上の\(\mathrm{X}\)側に点\(\mathrm{P}\),辺\(\mathrm{XB}\)の延長上の\(\mathrm{X}\)側に点\(\mathrm{Q}\)があるとき,次のいずれかが成り立てば\(\mathrm{AB} /\!/ \mathrm{PQ}\)である。
- \(\mathrm{XP} : \mathrm{XA} = \mathrm{XQ} : \mathrm{XB}\)
- \(\mathrm{XP} : \mathrm{PA} = \mathrm{XQ} : \mathrm{QB}\)

これも結局は同位角・錯角が等しいことから導かれるものです。 同位角・錯角が等しいことは,三角形の相似から導かれます。
とにかく\(2\)直線が平行であることを示すには,同位角・錯角が等しいことを示せば良いと覚えておけばOKです。
特定の図形である証明
ある図形が特定の性質をもつ図形であることの証明を確認します。 例えば,三角形が二等辺三角形であることの証明などです。
このような証明には,定義を満たすことを直接証明するのが基本ですが,他の条件により示せることもあります。 どんな条件があるのか,しっかり確認しておきましょう。
まずは簡単な図形として,正三角形であることの証明を確認します。
次のいずれかの条件を満たす三角形は,正三角形である。
- 【定義】\(3\)辺の長さが等しい。
- 内角が全て等しい。

次は二等辺三角形です。
次のいずれかの条件を満たす三角形は,二等辺三角形である。
- 【定義】\(2\)辺の長さが等しい。
- \(2\)つの内角が等しい。

直角三角形も確認しましょう。
次のいずれかの条件を満たす三角形は,直角三角形である。 三角形の\(3\)辺の長さを\(a\),\(b\),\(c\)(\(c\)が最長)とする。
- 【定義】\(1\)つの内角が直角である。
- \(a^2 + b^2 = c^2\)を満たす。

次は四角形の証明を確認していきます。 まずは平行四辺形です。
次のいずれかの条件を満たす四角形は,平行四辺形である。
- 【定義】\(2\)組の対辺がそれぞれ平行である。
- \(2\)組の対辺がそれぞれ等しい。
- \(2\)組の対角がそれぞれ等しい。
- \(1\)組の対辺が平行であり,長さが等しい。
- \(2\)本の対角線がそれぞれの中点で交わる。

次は長方形です。
次のいずれかの条件を満たす四角形は,長方形である。
- 【定義】内角が全て等しい。
- 平行四辺形であり,対角線の長さが等しい。

次はひし形です。
次のいずれかの条件を満たす四角形は,ひし形である。
- 【定義】辺の長さがすべて等しい。
- 平行四辺形であり,対角線が垂直に交わる。

最後に正方形です。
長方形であり,ひし形でもある四角形は,正方形である。 つまり,内角がすべて等しく,辺の長さがすべて等しい四角形は,正方形である。

各図形の定義は覚えておきましょう。 他の条件はその図形が持つ性質をよく理解しておけば,思い出せるはずです。
円に関する証明
円に関する証明を確認していきましょう。 まずはある\(4\)点が同一円周上にあることの証明を確認します。 この証明には円周角の定理の逆を利用できます。
\(2\)点\(\mathrm{X}\),\(\mathrm{Y}\)が直線\(\mathrm{AB}\)に対して同じ側にあり,次が成り立つとき,\(4\)点\(\mathrm{A}\),\(\mathrm{B}\),\(\mathrm{X}\),\(\mathrm{Y}\)は同一円周上にある。

ある弦が直径であることの証明方法も確認しておきましょう。
ある弦に対する円周角が直角であるとき,その弦は直径である。

もうひとつ,円周上の点を通る直線が接線であることの証明も確認します。
円周上の点を通る直線が,その点を通る半径に垂直であるとき,この直線はこの円の接線である。

どれも重要な定理の逆です。 普段から定理の逆も成り立つかを確認しておくと役に立ちます。
共点の証明
いくつかの直線が\(1\)点で交わるとき,これらの直線は共点であるといいます。 \(3\)本の直線について,こうなるための条件,すなわち共点条件を考えてみましょう。
数学Bのベクトルなどを使えば考えやすいのですが,数学Aの平面図形の問題としては,とりあえず以下のいずれかの方針で取り組むことになります。
- \(2\)直線の交点をもう\(1\)つの直線が通ることを示す。
- \(2\)直線ずつの交点が一致することを示す。
- チェバの定理の逆を利用する。(今回は扱いませんが,また後に解説します。)
基本的には,\(3\)つのものを同時には考えられないので,\(2\)つずつのペアで考えるという発想です。 \(1\)つめの方針は「直線・直線ペア → 交点・直線ペア」,\(2\)つめの方針は「直線・直線ペア → 交点・交点ペア」で考えるわけです。
まず\(1\)つめの方針「\(2\)直線の交点をもう\(1\)つの直線が通ることを示す」を考えてみましょう。

この方針では,直線上の点が持つ性質を理解することが重要です。 \(2\)直線の交点は,それらの直線の性質を併せ持ちます。 この交点が残り\(1\)直線の上に乗るための性質を持つことを示せば良いのです。
イメージしづらいと思うので,補足で具体例を見てみましょう。
三角形\(\mathrm{ABC}\)の\(3\)辺の垂直二等分線が共点であることを軽く示してみましょう。 線分の垂直二等分線は,線分の端点からの距離が等しい点の集まりであることを使います。
辺\(\mathrm{AB}\)の垂直二等分線は,頂点\(\mathrm{A}\),\(\mathrm{B}\)からの距離が等しい点の集まりです。 辺\(\mathrm{BC}\)の垂直二等分線についても,同様のことがいえます。 これらの交点を\(\mathrm{P}\)とすると,両直線の性質を併せ持つので,次が成り立ちます。
ここから\(\mathrm{PA} = \mathrm{PC}\)であることが分かります。 したがって,点\(\mathrm{P}\)は頂点\(\mathrm{C}\),\(\mathrm{A}\)からの距離が等しい点であり,辺\(\mathrm{CA}\)の垂直二等分線上の点でもあります。
これで辺\(\mathrm{AB}\),辺\(\mathrm{BC}\)の垂直二等分線の交点を辺\(\mathrm{CA}\)の垂直二等分線が通ることが分かりました。 これらの直線は共点であったわけです。
次に\(2\)つめの方針「\(2\)直線ずつの交点が一致することを示す」を考えてみましょう。

この方針では,\(2\)点が一致することを示す必要があります。 そのひとつの方法は,まず\(2\)点が同じ線分上にあることを確認し,両点がその線分を同じ比で内分(外分)することを示すことです。
内分・外分については,次回学びます。
共線の証明
いくつかの点が一直線上にあるとき,これらの点は共線であるといいます。 \(3\)つの点について,こうなるための条件,すなわち共線条件を考えてみましょう。
これも数学Bのベクトルなどを使うと考えやすいのですが,数学Aの平面図形の問題としては,とりあえず以下のいずれかの方針で取り組みます。
- \(2\)点を結ぶ直線上にもう\(1\)つの点があることを示す。
- \(2\)点ずつを結んでできる\(2\)直線が平行であることを示す。
- \(3\)点のなす角が\(180^{\circ}\)であることを示す。(\(3\)点の順番に注意)
- メネラウスの定理の定理の逆を利用する。(今回は扱いませんが,また後に解説します。)
初めの\(2\)つは共点条件と同じく,同時に\(3\)つは考えられないので,\(2\)つずつのペアで考えるものです。 \(3\)つめは共線条件ならではですね。
まず\(1\)つめの方針「\(2\)点を結ぶ直線上にもう\(1\)つの点があることを示す」を考えてみましょう。

理屈としては理解できる方針ですね。 共点の「\(2\)直線の交点をもう\(1\)つの直線が通ることを示す」方針と似ています。
この共線条件も共点の場合と同じく,\(2\)点を結ぶ直線の持つ性質や,残りの\(1\)点の性質を把握することが重要です。 イメージしづらければ,共点条件の方の補足を見てみてください。
(ただ平面図形の問題としては,この方針はあまり使わない気がします。)
次に\(2\)つめの方針「\(2\)点ずつを結んでできる\(2\)直線が平行であることを示す」を考えてみましょう。

このとき\(2\)つの直線は,必ず\(1\)点を共有することになります。 \(3\)点しかないので,完全に別々の点を\(2\)個ずつ選ぶことはできないのです。 \(1\)点を共有した直線が平行なら,それらは同じ直線なので,結局\(3\)点が同一直線上にあることになります。
\(2\)つの直線が平行であることを示すには,同位角か錯角が等しいことを示せば良いですね。
もし\(2\)つの直線が平行であることを直接示せない場合は,これら両方の直線が,それとは別のある直線\(\ell\)と平行であることを示します。 これで\(2\)つの直線が平行であることを間接的に示せます。
最後に\(3\)つめの方針「\(3\)点のなす角が\(180^{\circ}\)であることを示す」を考えてみましょう。

これは使いやすい証明方法です。 \(3\)点のなす角が\(180^{\circ}\)であることを示すには,次のように角をいくつかに分割して,その合計が\(180^{\circ}\)になることを確認すれば良いです。

角のとり方を間違えると,\(3\)点のなす角が\(0^{\circ}\)となり,考えづらくなります。 \(3\)点がどんな順番で並びそうか,見当をつけてから角度を考えていくと良いですね。
次回からは高校数学の平面図形に入っていきます。 今回復習したことの応用例は,今後たくさん出てきますから,今回の確認問題は軽めにしておきます。
確認問題
次図のように長方形\(\mathrm{ABCD}\)の各辺上に中点\(\mathrm{P}\),\(\mathrm{Q}\),\(\mathrm{R}\),\(\mathrm{S}\)をとります。 このとき,\(\mathrm{PQ} /\!/ \mathrm{RS}\)であることを証明してください。

答え
\(2\)直線が平行であることを証明するには,同位角か錯角が等しくなることを示せばよいです。
そのために\(\mathrm{PQ}\),\(\mathrm{RS}\)と交わる直線を引く必要があるので,次のように線分\(\mathrm{PS}\)を引きます。 錯角である\(\angle\mathrm{QPS}\)と\(\angle\mathrm{RSP}\)が等しいことを証明します。

四角形\(\mathrm{ABCD}\)は長方形ですから,\(\angle\mathrm{B}\)も\(\angle\mathrm{D}\)も直角です。 また対辺が等しく,点\(\mathrm{P}\),\(\mathrm{Q}\),\(\mathrm{R}\),\(\mathrm{S}\)は各辺の中点なので,次が成り立ちます。

したがって,\(2\)辺とその間の角がそれぞれ等しいので,\(\triangle\mathrm{BPQ}\)と\(\triangle\mathrm{DSR}\)は合同です。 よって,\(\angle\mathrm{BPQ} = \angle\mathrm{DSR}\)です。
また四角形\(\mathrm{ABCD}\)は長方形ですから,\(\mathrm{AB} /\!/ \mathrm{DC}\)であり,その錯角は等しいです。 したがって,次が成り立ちます。
途中で\(\angle\mathrm{BPQ} = \angle\mathrm{DSR}\)であることを使いました。 したがって,錯角が等しいので,\(\mathrm{PQ} /\!/ \mathrm{RS}\)です。
このような簡単な図形が問題になると,見るからに直角の角や,見るからに平行な直線が出てきますが,見た目だけで判断してはいけません。 定理として学んでいないことは,まず証明しましょう。
中線定理という定理を証明してください。 中線定理は,以下の内容です。
【中線定理】\(\triangle\mathrm{ABC}\)の辺\(\mathrm{BC}\)の中点を\(\mathrm{M}\)とする。 このとき,次が成り立つ。

中線定理を証明してください。 ただし\(\triangle\mathrm{ABC}\)が鋭角三角形(すべての角が鋭角)の場合だけで良いです。 鈍角三角形の場合も同様に証明できます。
この定理を覚えておくと,役に立つ場面があります。 ただし覚えていなくても,この証明ができるくらいの思考力があれば,特別困る場面はありません。
答え
三角形に関する式で,\(2\)乗の形があるので,三平方の定理を利用することを考えます。 そのために頂点\(\mathrm{A}\)から対辺に垂線\(\mathrm{AH}\)を下ろします。

\(\mathrm{AB} < \mathrm{AC}\)の場合は点\(\mathrm{H}\)は線分\(\mathrm{BM}\)上にありますが,全く同様の議論なので,\(\mathrm{AB} \geqq \mathrm{AC}\)の場合のみ証明します。 この場合,点\(\mathrm{H}\)は線分\(\mathrm{CM}\)上にあり,特に\(\mathrm{AB} = \mathrm{AC}\)の場合は,\(\mathrm{M}\)と\(\mathrm{H}\)は一致します。
では証明したい式の左辺から計算を始めて,右辺の形になることを確認しましょう。 \(\triangle\mathrm{ABH}\),\(\triangle\mathrm{ACH}\)は直角三角形ですから,三平方の定理により次のように計算できます。
この式には\(\mathrm{M}\)が登場せず,\(\mathrm{H}\)が現われています。 \(\mathrm{AH}^2\),\(\mathrm{BH}^2\),\(\mathrm{CH}^2\)を次のように\(\mathrm{M}\)を使う形に書き直してみましょう。
\(\triangle\mathrm{AMH}\)が直角三角形であることに注意してください。
式の途中で\(\mathrm{BM} = \mathrm{CM}\)であることを使いました。 これで先ほどの式の続きを計算できます。
これで中線定理が証明できました。