数と式第 9 回

平方根

絶対値

有理化

はじめに

中学校で習った平方根について改めて学習します。 平方根は無理数の例としても既に出てきましたね。

目次

平方根

2乗するとaになる数をa平方根といいます。 例えば4の平方根は2, 2の2つです。 このようにa>0のときaの平方根は正負2つあり, それぞれaaと表します。 4=2というわけですね。

この記号    には根号という名前がついています。

a=0のときaの平方根は0の1つだけです。 a<0のときaの平方根は(実数の範囲には)ありません。 どんな実数も2乗すると0以上になるので2乗して負になる実数はないわけです。


次に平方根の性質を確認しておきましょう。

平方根の性質
  1. a0のとき(a)2=a,   (a)2=a
  2. a0のときa0
  3. a2=|a|

1つ目は平方根の定義ですね。

2つ目はaは正の平方根を表しているという説明です。 負の平方根はaというように負の符号をつけて表します。

補足 a=0の場合

a=0の場合a=0なのでこれを「正の」平方根というのは正確には違いますが,便宜上このような表現をしています。

3つ目についてa2a2の正の平方根を表します。 2乗してa2になる数はaaの2つあります。 このうち正の数はa>0ならaの方,a<0ならaの方になります。 つまりa2の正の平方根は|a|になるのでa2=|a|となるわけです。

補足 絶対値について確認

実数aの絶対値は次の性質を持ちます。

a0のとき|a|=a
a<0のとき|a|=a


次に平方根の公式を確認しておきましょう。

平方根の公式

    a>0,b>0,k>0とします。

  1. ab=ab
  2. ab=ab
  3. k2a=ka

1つ目は(ab)2=(a)2(b)2=abであり, ab>0なのでababの正の平方根になっているということです。

2つ目は左辺,3つ目は右辺の2乗を計算してみればすぐに確かめられます。

この公式が根号の計算の基本になります。 根号をまとめたり,根号中の平方因数を根号外に出したりできます。 平方因数とは素因数分解したときに平方(2乗)の形にできる因数のことです。

下の計算例のように根号の中には平方因数を残さないようにします。

26=26=223=23

2重根号

根号の中に根号がある7+210のような2重根号を扱うことがあります。 2重根号はもっと簡単な式にできる場合があり,実は7+210=5+2です。

2重根号の外し方を説明します。 上の例で見たように2重根号はa±bという形にできることがあります。 このように変形できると仮定してから実際にabを求めると良いです。


計算例を見ましょう。上の7+210を簡単にしてみます。

まず7+210=a+bと変形できたらいいなーと願いを込めます。 a,bは根号の中身なのでともに0以上でなければならないことに注意しましょう。

このとき7+210=(a+b)2ですね。 右辺を展開すると(a+b)+2abとなるので, 両辺を見比べるとa+b=7, ab=10となるようなa,bを見つければ良さそうです。

足して7,掛けて10なのでa=5,b=2です。 a,bを入れ替えても同じことですね。 これで7+210=5+2と変形できることが分かりました。

もし7210のように根号の中にマイナスがあるときは 7210=abとしてa,bを求めましょう。 これが負の値になってはいけないのでa>bでなければならないことに注意です。

確認問題

次の計算をしてください。

  1. 23

  2. 36

  3. 63327

  4. 653

答え
  1. 23=6

  2. 36=322=32

  3. 63327=1892=189=2

  4. 653=653=10

次の式の2重根号を外してください。

  1. 11+230

  2. 1147

答え
  1. 11+230=a+bとおきます。 このとき11+230=(a+b)2なので11+230=(a+b)+2abです。

    両辺を見比べるとa+b=11, ab=30なのでa=5, b=6です。 以上より11+230=5+6です。

  2. 1147=abとおきます。a>bでなければならないことに注意です。

    このとき1147=(ab)2なので1147=(a+b)2abです。 47=227=2227=228なので,上式は11228=(a+b)2abです。

    両辺を見比べるとa+b=11, ab=28なのでa=7,b=4です。 以上より1147=74=72です。

次の数の整数部分・小数部分を答えてください。

  1. 66

  2. 210

答え
  1. 2=1.41など有名な平方根の値は知っていると思いますが66の値なんて知りませんよね。 どうやって整数部分・小数部分を求めたらよいでしょうか。

    例えば2=22=47=72=49ですよね。 このように整数を平方根で表すと根号の中身は平方数になります。 この値を使えばあらゆる平方根の大きさを知ることができます。

    問題の66でいえば64<66<81なので8<66<9です。 これで66の整数部分は8,小数部分は668であることが分かります。 このように平方数の比較を行うことで,平方根の大きさも分かるわけです。

  2. (1)と同様に考えると9<10<16なので3<10<4です。 したがって6<210<8です。 しかしこれでは210の整数部分が6なのか7なのか分かりませんね。

    こういうときは210=2210=40と変形しましょう。 こうすれば36<40<49なので6<40<7と分かります。 したがって210の整数部分は6,小数部分は2106です。