2次関数第 3 回

グラフの平行移動・対称移動

はじめに

グラフは,大雑把に言えば,形状と位置によって決まります。 このうち形状については,1次関数は直線,2次関数は放物線というような知識が(今のところは)必要です。

しかし位置については,平行移動を理解すれば,どんな位置のものにも対応できます。 また,関数の移動には対称移動もあります。 併せて学びましょう。

目次

平行移動

前回学んだ通り,2次関数のグラフの形状は\(x^2\)の係数で決まります。 ということは,以下3つの関数のグラフも全く同じ形状なのです。

\( \begin{align} &y = 2x^2 \\[5pt] &y = 2x^2 + 3x + 7 \\[5pt] &y = 2x^2 - 257x + 22225 \end{align} \)

これらのグラフの違いは,グラフがどこにあるかという「位置」だけです。 放物線の位置は,頂点の座標で比較できますね。 頂点の座標を求めるための式変形が平方完成でした。


位置だけが違うグラフは,平行移動によって完全に同じものになります。 平行移動とは,グラフをスライドさせる移動方法です。 縮めたり伸ばしたり,ひっくり返したりはしません。 なので平行移動後のグラフは,元のグラフと合同です。

平行移動は\(x\)軸方向にどれだけ動いたかと,\(y\)軸方向にどれだけ動いたかで表現できます。

例えば,関数\(y = (x - 2)^2 + 1\)のグラフを\(x\)軸方向に\(-4\)\(y\)軸方向に\(2\)だけ平行移動すると,下図のようになります。 頂点の座標が\((2, 1)\)から\((-2, 3)\)に移ることが分かりますね。


平行移動の意味が分かったところで,次は平行移動で関数式がどう変わるのかを確認しましょう。 結論からいうと,平行移動は,関数式を次のように変えることで実現できます。

平行移動

関数\(y = f(x)\)のグラフを\(x\)軸方向に\(p\)\(y\)軸方向に\(q\)だけ移動したものの関数式は,次のようになる。

\( \begin{align} y - q = f(x - p) \end{align} \)

これは,元の関数式を\(x \rightarrow x - p\)\(y \rightarrow y - q\)と変更したものである。

例えば,放物線\(y = x^2 + 2x + 3\)\(x\)軸方向に\(2\)\(y\)軸方向に\(-1\)だけ平行移動した放物線の方程式は次のようになります。

\( \begin{align} y - (- 1) = (x - 2)^2 + 2(x - 2) + 3 \end{align} \)

整理すると\(y = x^2 - 2x + 2\)になります。 頂点が\((-1, 2)\)から\((1, 1)\)に移っていることも確認してみてください。


平行移動の式変形について確認しておきます。 グラフ\(G\)の方程式が\(y = f(x)\)で,これを\(x\)軸方向に\(p\)\(y\)軸方向に\(q\)だけ平行移動したグラフを\(H\)とします。 \(H\)の方程式が\(y - q = f(x - p)\)になることを確認しましょう。

\(H\)上の点\((x, y)\)\(x, y\)間の関係が分かれば,その方程式が得られます。 いま\(H\)について分かっていることは,\(G\)を平行移動したものだということです。 それはつまり,\(H\)上の点を逆向きに平行移動すれば,\(G\)上の点になるということです。

\(H\)上の点\((x, y)\)\(x\)軸方向に\(-p\)\(y\)軸方向に\(-q\)だけ平行移動すれば,\(G\)上の点になります。 平行移動後の点\((x - p, y - q)\)\(G\)の方程式を満たしますから,\(y - q = f(x - p)\)という関係式が得られます。 これは\(H\)上の点\((x, y)\)\(x, y\)間の関係であり,\(H\)の方程式です。

対称移動

平行移動の他に重要なグラフの移動として,対称移動があります。 特に数学Ⅰで使うのは,「\(x\)軸に関して対称移動」「\(y\)軸に関して対称移動」「原点に関して対称移動」の3つです。

\(x\)軸,\(y\)軸に関して対称移動」は,線対称移動です。 それぞれ\(x\)軸,\(y\)軸を対称軸とします。 「原点に関して対称移動」は,原点を回転の中心とする点対称移動です。

補足 線対称移動と点対称移動

線対称移動は,ある直線を基準にして図形をひっくり返す移動です。 基準となる直線を「対称軸」といいます。

点対称移動は,ある点を中心として図形を\(180^{\circ}\)回転する移動です。 中心となる点を「回転の中心」といいます。


まずは,それぞれの対称移動で点がどこに移るのか確認してみましょう。 下図は点\((3, 1)\)をそれぞれの方法で対称移動したものです。

この図からも,点\((p, q)\)は対称移動によって,次の点に移ることが分かります。

対称移動 移動後の座標
元の点 \((p, q)\)
\(x\)軸に関して対称移動 \((p, \textcolor{red}{-q})\)
\(y\)軸に関して対称移動 \((\textcolor{red}{-p}, q)\)
原点に関して対称移動 \((\textcolor{red}{-p}, \textcolor{red}{-q})\)

\(x\)軸に関して対称移動したときは,\(x\)座標はそのままです。 \(y\)軸に関して対称移動したときは,\(y\)座標はそのままです。 それ以外の座標は符号が反転していますね。


次に,グラフを対称移動するとどうなるのか確認してみましょう。 先ほど点の対称移動を確認しました。 グラフは点の集まりですから,グラフの対称移動も点の対称移動と同様に符号が変化します。

つまり,グラフ上の点\((x, y)\)は,対称移動したあと次の点に移ります。

対称移動 移動後の座標
元の点 \((x, y)\)
\(x\)軸に関して対称移動 \((x, \textcolor{red}{-y})\)
\(y\)軸に関して対称移動 \((\textcolor{red}{-x}, y)\)
原点に関して対称移動 \((\textcolor{red}{-x}, \textcolor{red}{-y})\)

これを踏まえると,対称移動したあとのグラフの方程式は,\(x, y\)の符号を適切に変えてやれば求められることが分かります。 関数\(y = f(x)\)のグラフを対称移動したあとのグラフの方程式は,次のようになります。

対称移動 移動後のグラフ
元のグラフ \(y = f(x)\)
\(x\)軸に関して対称移動 \(\textcolor{red}{-y} = f(x)\)
\(y\)軸に関して対称移動 \(y = f(\textcolor{red}{-x})\)
原点に関して対称移動 \(\textcolor{red}{-y} = f(\textcolor{red}{-x})\)

下図はグラフの対称移動の例で,\(y = (x - 3)^2 + 1\)のグラフをそれぞれの方法で対称移動したものです。

ひとつだけ,対称移動後のグラフの方程式を求める練習をしておきましょう。 上の放物線\(y = (x - 3)^2 + 1\)\(y\)軸に関して対称移動すると,次の方程式が得られます。

\( \begin{align} y &= (\textcolor{red}{-x} - 3)^2 + 1 \\[5pt] &=\{-(x + 3)\}^2 + 1 \\[5pt] &= (x + 3)^2 + 1 \end{align} \)

放物線の頂点の座標が,ちゃんと\((3, 1)\)から\((-3, 1)\)に移ったことも確認できますね。

補足 他の移動

他にもグラフの移動には,回転移動などもありますが,今の時点で扱える内容ではありません。 複素数平面や行列の知識が必要となりますが,これは数学Ⅲや数学Cで学ぶ内容です。 (教育課程によって,数学Ⅲで複素数平面を学んだり,数学Cで行列を学んだりします。)

確認問題

関数\(y = x^2 + \displaystyle\frac{1}{x}\)のグラフを次の(1)~(3)の方法で平行移動します。 平行移動後のグラフの方程式をそれぞれ求めてください。

  1. \(x\)軸方向に\(2\)だけ平行移動

  2. \(y\)軸方向に\(-1\)だけ平行移動

  3. \(x\)軸方向に\(-1\)\(y\)軸方向に\(3\)だけ平行移動

答え

平行移動後の方程式がどうなるか分かっていれば簡単です。

  1. \(x\)\(x - 2\)に変えれば良いです。

    \( \begin{align} y &= (x - 2)^2 + \displaystyle\frac{1}{x - 2} \\[5pt] &= x^2 - 4x + 4 + \displaystyle\frac{1}{x - 2} \end{align} \)

    より,答えは\(y = x^2 - 4x + 4 + \displaystyle\frac{1}{x - 2}\)です。

  2. \(y\)\(y + 1\)に変えれば良いです。

    \( \begin{align} y + 1 &= x^2 + \displaystyle\frac{1}{x} \\[5pt] \end{align} \)

    より,答えは\(y = x^2 - 1 + \displaystyle\frac{1}{x}\)です。

  3. \(x\)\(x + 1\)に,\(y\)\(y - 3\)に変えれば良いです。

    \( \begin{align} y - 3 &= (x + 1)^2 + \displaystyle\frac{1}{x + 1} \\[5pt] &= x^2 + 2x + 1 + \displaystyle\frac{1}{x + 1} \end{align} \)

    より,答えは\(y = x^2 + 2x + 4 + \displaystyle\frac{1}{x + 1}\)です。

関数\(y = x^3 + \displaystyle\frac{2}{x^2 + 2}\)のグラフを次の(1)~(4)の方法で対称移動します。 対称移動後のグラフの方程式をそれぞれ求めてください。

  1. \(x\)軸に関して対称移動

  2. \(y\)軸に関して対称移動

  3. 原点に関して対称移動

  4. \(x\)軸に関して対称移動後,原点に関して対称移動

答え

対称移動後の方程式がどうなるか分かっていれば簡単です。

  1. \(y\)\(-y\)に変えれば良いです。

    \( \begin{align} -y = x^3 + \displaystyle\frac{2}{x^2 + 2} \end{align} \)

    より,答えは\(y = -x^3 - \displaystyle\frac{2}{x^2 + 2}\)です。

  2. \(x\)\(-x\)に変えれば良いです。

    \( \begin{align} y &= (-x)^3 + \displaystyle\frac{2}{(-x)^2 + 2} \\[5pt] &= -x^3 + \displaystyle\frac{2}{x^2 + 2} \end{align} \)

    より,答えは\(y = -x^3 + \displaystyle\frac{2}{x^2 + 2}\)です。

  3. \(x\)\(-x\)に,\(y\)\(-y\)に変えれば良いです。

    \( \begin{align} -y &= (-x)^3 + \displaystyle\frac{2}{(-x)^2 + 2} \\[5pt] &= -x^3 + \displaystyle\frac{2}{x^2 + 2} \end{align} \)

    より,答えは\(y = x^3 - \displaystyle\frac{2}{x^2 + 2}\)です。

  4. まず\(y\)\(-y\)に変えます。

    \( \begin{align} -y = x^3 + \displaystyle\frac{2}{x^2 + 2} \end{align} \)

    次に\(x\)\(-x\)に,\(y\)\(-y\)に変えれば良いです。

    \( \begin{align} -(-y) &= (-x)^3 + \displaystyle\frac{2}{(-x)^2 + 2} \\[5pt] &= -x^3 + \displaystyle\frac{2}{x^2 + 2} \end{align} \)

    より,答えは\(y = -x^3 + \displaystyle\frac{2}{x^2 + 2}\)です。

次の問いに答えてください。

  1. 関数\(y = x^2 + 2x\)のグラフを\(y\)軸に関して対称移動したあと,\(x\)軸方向に\(-3\)だけ平行移動し,原点に関して対称移動したグラフの方程式を求めてください。

  2. ある関数のグラフを\(y\)軸に関して対称移動したあと,\(x\)軸方向に\(-3\)だけ平行移動し,原点に関して対称移動したグラフの方程式が\(y = x^2 + 2x\)であったとき,元の関数を求めてください。

答え

平行移動や対称移動をひとつずつ順番に行っていきましょう。

  1. まず\(x\)\(-x\)に変えます。

    \( \begin{align} y &= (-x)^2 + 2 \cdot (-x) \\[5pt] &= x^2 - 2x \end{align} \)

    次に\(x\)\(x + 3\)に変えます。

    \( \begin{align} y &= (x + 3)^2 - 2(x + 3) \\[5pt] &= x^2 + 6x + 9 -2x - 6 \\[5pt] &= x^2 +4x + 3 \end{align} \)

    最後に\(x\)\(-x\)に,\(y\)\(-y\)に変えれば良いです。

    \( \begin{align} -y &= (-x)^2 + 4 \cdot (-x) + 3 \\[5pt] &= x^2 - 4x + 3 \end{align} \)

    より,答えは\(y = -x^2 + 4x - 3\)です。

  2. 移動後のグラフが分かっているので,逆向きの移動を行って,元のグラフにたどり着きましょう。 まず原点に関して対称移動し,次に\(x\)軸方向に\(3\)だけ平行移動し,\(y\)軸に関して対称移動すれば良いですね。

    まず\(x\)\(-x\)に,\(y\)\(-y\)に変えます。

    \( \begin{align} -y &= (-x)^2 + 2 \cdot (-x) \\[5pt] &= x^2 - 2x \end{align} \)

    次に\(x\)\(x - 3\)に変えます。

    \( \begin{align} -y &= (x - 3)^2 - 2(x - 3) \\[5pt] &= x^2 - 6x + 9 - 2x + 6 \\[5pt] &= x^2 - 8x + 15 \end{align} \)

    最後に\(x\)\(-x\)に変えれば良いです。

    \( \begin{align} -y &= (-x)^2 - 8 \cdot (-x) + 15 \\[5pt] &= x^2 + 8x + 15 \end{align} \)

    より,答えは\(y = -x^2 - 8x - 15\)です。