2次方程式と2次不等第 1 回

2次方程式の解法

はじめに

2次関数は2次式の関数ですから,2次関数についていろいろ調べていると,2次式の方程式が現れることもあります。 それを2次方程式といいますが,今回はその解法を解説します。

目次

因数分解による解法

2次方程式は2次式の方程式です。 中学でも習いましたね。 基本的な解法は,因数分解によるものです。 次の2次方程式を解いてみましょう。

\( \begin{align} 2x^2 + 7x + 6 = 0 \end{align} \)

これを解くには,まず左辺を因数分解します。

\( \begin{align} (x + 2)(2x + 3) = 0 \end{align} \)

因数分解すると左辺が積の形になります。 積が\(0\)になるのは,かけた数の中に\(0\)がある場合だけですから,この式が成り立つのは,次の式のいずれかが成り立つ場合のみです。

\( \begin{align} x + 2 &= 0 \\[5pt] 2x + 3 &= 0 \end{align} \)

それぞれの方程式を解くことで,この2次方程式の解が\(x = -2, -\displaystyle\frac{3}{2}\)であることが分かります。 このコンマは「または」の意味です。 \(x\)がこのどちらかの場合のみ,方程式が成り立つということです。


このように,整式の形をした方程式を解くときは,「整式\(= 0\)」の形にして因数分解するのが基本です。

因数分解すると左辺が積の形になります。 積が\(0\)ということは,かけた数,つまり因数のどれかが\(0\)ということです。 「因数\(= 0\)」という方程式に分解できるわけですね。

2次方程式であれば,因数分解すれば2つの1次方程式に分解できるので,簡単に解けるわけです。

解の公式

2次方程式を解くときには因数分解するのが基本ですが,因数分解って難しいですよね。 そもそも有理数の範囲では因数分解できない2次式もあります。

これでは不便なので,一般に使える公式を作りましょう。 次の2次方程式を解きます。

\( \begin{align} ax^2 + bx + c = 0 \end{align} \)

2次方程式なので\(a \neq 0\)です。 結論を先にいうと,公式は次のようになります。 計算はその後で確認していきます。

2次方程式の解の公式

2次方程式\(ax^2 + bx + c = 0\)は,\(b^2 - 4ac \geqq 0\)のとき実数解をもち,その解は次の通り:

\( \begin{align} x = \displaystyle\frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a} \end{align} \)

ただし,\(b^2 - 4ac < 0\)の場合は「実数解なし」となる。


それでは,2次方程式\(ax^2 + bx + c = 0\)を解いていきましょう。 まずは最高次である\(x^2\)の係数を簡単にするため,両辺を\(a\)で割ります。 2次方程式なので,\(a \neq 0\)ですから,両辺を\(a\)で割ることができるんですね。

\( \begin{align} x^2 + \displaystyle\frac{b}{a}x + \displaystyle\frac{c}{a} = 0 \end{align} \)

次に,\(x\)を含む項が\(x^2, x\)の2つあって面倒なので,左辺を平方完成します。

\( \begin{align} \left(x + \displaystyle\frac{b}{2a}\right)^2 - \left(\displaystyle\frac{b}{2a}\right)^2 + \displaystyle\frac{c}{a} &= 0 \\[5pt] \left(x + \displaystyle\frac{b}{2a}\right)^2 - \displaystyle\frac{b^2}{4a^2} + \displaystyle\frac{4ac}{4a^2} &= 0 \\[5pt] \left(x + \displaystyle\frac{b}{2a}\right)^2 - \displaystyle\frac{b^2 - 4ac}{4a^2} &= 0 \end{align} \)

次に,左辺が\(x\)を含む項だけ,右辺が\(x\)を含まない項だけになるように分離します。

\( \begin{align} \left(x + \displaystyle\frac{b}{2a}\right)^2 = \displaystyle\frac{b^2 - 4ac}{4a^2} \end{align} \)

この方程式の左辺は\(0\)以上なので,右辺が\(0\)以上のときにしか実数解はありません。 右辺の分母は正ですから,右辺が\(0\)以上になるのは\(b^2 - 4ac \geqq 0\)のときですね。

このとき,左辺の2乗をはずすことができます。 2乗するとある数になるものを平方根といい,\(\sqrt{\quad}\)をつけて表すんでしたね。

\( \begin{align} x + \displaystyle\frac{b}{2a} &= \pm \sqrt{\displaystyle\frac{b^2 - 4ac}{4a^2}} \\[5pt] &= \pm \displaystyle\frac{\sqrt{b^2 - 4ac}}{\sqrt{4a^2}} \\[5pt] &= \pm \displaystyle\frac{\sqrt{b^2 - 4ac}}{2|a|} \\[5pt] &= \pm \displaystyle\frac{\sqrt{b^2 - 4ac}}{2a} \end{align} \)
補足 絶対値とプラスマイナス

上の式変形では\(\sqrt{a^2} = |a|\)を利用していますが,次の行では絶対値が消えています。 それは,絶対値記号の前に符号\(\pm\)があるからです。

\(|a|\)の絶対値を外すと,\(a\)または\(-a\)になります。 なので\(\pm |a|\)は,\(\pm a\)または\(\mp a\)になります。 しかし,今回のように符号の順番に意味がない場合は,\(\pm a\)\(\mp a\)も同じ組み合わせであり,両者に違いはありません。

したがって,\(\pm |a| = \pm a\)と変形できたわけです。

あとは左辺の定数項をどかして終わりですね。

\( \begin{align} x &= -\displaystyle\frac{b}{2a} \pm \displaystyle\frac{\sqrt{b^2 - 4ac}}{2a} \\[5pt] &= \displaystyle\frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a} \end{align} \)

ちゃんと公式が求められましたね。

補足 派生型

解の公式には,よく使われる次の派生型があります。 \(x\)の係数が偶数の場合の公式です。

2次方程式が\(ax^2 + \textcolor{red}{2b'}x + c = 0\)という形をしているとき,解の公式は次の形になります。

\( \begin{align} x = \displaystyle\frac{-\textcolor{red}{b'} \pm \sqrt{\textcolor{red}{b'}^2 - ac}}{a} \end{align} \)

\(x\)の係数が偶数の場合は,普通に解の公式を使うと,約分箇所が出てきます。 それをあらかじめ考慮した公式ですね。 \(x\)の係数を\(2b'\)としているので,公式中では\(x\)の係数の半分を使っていることになります。

この公式を覚える必要はありませんが,使いこなすと計算が楽になります。 たまには意識して使ってみると良いかもしれません。

補足 解の公式のパーツ

解の公式には\(-\displaystyle\frac{b}{2a}\)\(\displaystyle\frac{\sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}\)というパーツが登場します。 これは,関数\(y = ax^2 + bx + c\)のグラフを考えると,前者は軸で,後者は軸から\(x\)切片までの距離です。

2次関数のグラフ,つまり放物線は,軸を対称軸として左右対称です。 ですから,軸から\(x\)切片までの距離は,左側でも右側でも変わりません。

2次方程式の解の公式は,2次関数の値が\(0\)になるような\(x\)の値,つまり\(x\)切片を求める公式でもあるので,「"軸の座標" \(\pm\) "\(x\)切片までの距離"」という形をしているわけです。

確認問題

次の方程式を解いてください。

  1. \(x^2 = 4x - 3\)

  2. \(x(6x - 5) = -1\)

  3. \(x^2 + x + 2 = 3\)

  4. \((x + 1)^2 + x(x + 2) = 0\)

答え

まずは方程式を「整式\(= 0\)」の形に整理し,因数分解か解の公式で解きましょう。

  1. 方程式を整理すると,次のようになります。

    \( \begin{align} x^2 - 4x + 3 = 0 \end{align} \)

    左辺を因数分解すると,次のようになります。

    \( \begin{align} (x - 1)(x - 3) = 0 \end{align} \)

    積が\(0\)ということは,因数のどちらかは\(0\)です。 なので,「因数\(= 0\)」を解くことで方程式の解が求められ,その解は\(x = 1, 3\)です。


    解の公式を使った場合は,次のようになります。 \(x\)の係数が偶数なので,派生型の方を使ってみます。

    \( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{2 \pm \sqrt{2^2 - 1 \cdot 3}}{1} \\[5pt] &= 2 \pm \sqrt{1} \\[5pt] &= 2 \pm 1 \\[5pt] &= 2 + 1, 2 - 1 \\[5pt] &= \textcolor{red}{3, 1} \end{align} \)
  2. 方程式を整理すると,次のようになります。

    \( \begin{align} 6x^2 - 5x &= -1 \\[5pt] 6x^2 - 5x + 1 &= 0 \end{align} \)

    左辺を因数分解すると,次のようになります。

    \( \begin{align} (2x - 1)(3x - 1) = 0 \end{align} \)

    積が\(0\)ということは,因数のどちらかは\(0\)です。 なので,「因数\(= 0\)」を解くことで方程式の解が求められ,その解は\(x = \displaystyle\frac{1}{2}, \displaystyle\frac{1}{3}\)です。


    解の公式を使った場合は,次のようになります。

    \( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{-(-5) \pm \sqrt{(-5)^2 - 4 \cdot 6 \cdot 1}}{2 \cdot 6} \\[5pt] &= \displaystyle\frac{5 \pm \sqrt{1}}{12} \\[5pt] &= \displaystyle\frac{5 \pm 1}{12} \\[5pt] &= \displaystyle\frac{5 + 1}{12}, \displaystyle\frac{5 - 1}{12} \\[5pt] &= \textcolor{red}{\displaystyle\frac{1}{2}, \displaystyle\frac{1}{3}} \end{align} \)
  3. 方程式を整理すると,次のようになります。

    \( \begin{align} x^2 + x - 1 = 0 \end{align} \)

    左辺の因数分解が難しそうなので,解の公式を使います。

    \( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{-1 \pm \sqrt{1^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-1)}}{2 \cdot 1} \\[5pt] &= \textcolor{red}{\displaystyle\frac{-1 \pm \sqrt{5}}{2}} \end{align} \)

    ちなみに,解が求められたことで,左辺が次のように因数分解できることが分かります。

    \( \begin{align} \left(x - \displaystyle\frac{-1 + \sqrt{5}}{2}\right)\left(x - \displaystyle\frac{-1 - \sqrt{5}}{2}\right) \end{align} \)
  4. 方程式を整理すると,次のようになります。

    \( \begin{align} x^2 + 2x + 1 + x^2 + 2x &= 0 \\[5pt] 2x^2 + 4x + 1 &= 0 \end{align} \)

    左辺の因数分解が難しそうなので,解の公式を使います。 \(x\)の係数が偶数なので,派生型の方を使ってみます。

    \( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{-2 \pm \sqrt{2^2 - 2 \cdot 1}}{2} \\[5pt] &= \textcolor{red}{\displaystyle\frac{-2 \pm \sqrt{2}}{2}} \end{align} \)

    ちなみに,解が求められたことで,左辺が次のように因数分解できることが分かります。

    \( \begin{align} \left(x - \displaystyle\frac{-2 + \sqrt{2}}{2}\right)\left(x - \displaystyle\frac{-2 - \sqrt{2}}{2}\right) \end{align} \)

次の方程式を解いてください。

  1. \(\displaystyle\frac{3x}{x^2 + 1} = 1\)

  2. \(|x|^2 + |x| - 2 = 0\)

答え

式を整理して「整式\(= 0\)」の形をつくることから始めます。 式変形の際には,それが同値変形になっているか,つまり,式変形を逆方向にたどれるかに注意が必要です。


例えば,\(x + 1 = 2\)という方程式を考えるとき,式変形として両辺に\(0\)を掛けてみましょう。 このとき,方程式は\(0 = 0\)になり,\(x\)の値に関わらず式が成り立つようになります。 したがって,この方程式の解はすべての実数である・・・とは,当然できません。

この式変形の問題点は,逆にたどれないことです。 式変形として両辺に\(0\)を掛けたので,逆の計算とは両辺を\(0\)で割ることですが,それは「\(0\)割り禁止」というルールに反するため不可能なのです。

逆にたどって元の式に戻れないということは,もはや元の式とは別物であるということです。 方程式の変形の際,特に両辺に何か式を掛ける場合などは,十分に気を付けましょう。


  1. 方程式が分数の形になっているので,両辺に分母と同じ式を掛けて,分母を払いましょう。

    \( \begin{align} 3x = x^2 + 1 \end{align} \)

    ここで,式変形を逆方向にたどれることが重要です。 逆方向の計算とは,両辺を\(x^2 + 1\)で割ることですが,\(x^2 + 1\)は常に正であり,\(0\)にならないので,それが可能なのです。


    引き続き,式を整理していきます。

    \( \begin{align} x^2 - 3x + 1 = 0 \end{align} \)

    これで見慣れた2次方程式になりました。 左辺の因数分解は難しそうなので,解の公式を使って解を求めてしまいましょう。

    \( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{-(-3) \pm \sqrt{(-3)^2 - 4 \cdot 1 \cdot 1}}{2 \cdot 1} \\[5pt] &= \textcolor{red}{\displaystyle\frac{3 \pm \sqrt{5}}{2}} \end{align} \)
  2. 方程式に絶対値があるので,場合分けして絶対値を外しましょう。 \(x \geqq 0\)のとき\(|x| = x\)\(x < 0\)のとき\(|x| = -x\)ですね。


    [1] \(x \geqq 0\)の場合:
    方程式は次のようになります。

    \( \begin{align} x^2 + x - 2 = 0 \end{align} \)

    左辺を因数分解すると,次のようになります。

    \( \begin{align} (x + 2)(x - 1) = 0 \end{align} \)

    これを解くと\(x = -2, 1\)ですが,いま考えているのは\(x \geqq 0\)の場合です。 この条件に当てはまる解は\(x = 1\)だけですね。


    [2] \(x < 0\)の場合:
    方程式は次のようになります。

    \( \begin{align} x^2 - x - 2 = 0 \end{align} \)

    左辺を因数分解すると,次のようになります。

    \( \begin{align} (x + 1)(x - 2) = 0 \end{align} \)

    これを解くと\(x = -1, 2\)ですが,いま考えているのは\(x < 0\)の場合です。 この条件に当てはまる解は\(x = -1\)だけですね。


    以上から,この方程式の解は\(x = -1, 1\)です。

足すと\(50\),掛けると\(100\)になる2つの数は何でしょうか?

答え

求める2つの数を\(x, y\)とおきましょう。 そうすると,この問題は次の連立方程式で表せます。

\( \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + y &= 50 \\ xy &= 100 \end{array} \right. \end{eqnarray} \)

見慣れない形の連立方程式かもしれませんが,「文字を減らす」という方針はいつでも変わりません。 いわゆる加減法は使えそうにないので,代入法を使います。

1つめの式は\(y = 50 - x\)と変形できますから,これを2つめの式に代入しましょう。

\( \begin{align} x(50 - x) &= 100 \\[5pt] 50x - x^2 &= 100 \\[5pt] x^2 - 50x + 100 &= 0 \end{align} \)

左辺を因数分解するのは難しそうなので,解の公式で\(x\)を求めます。 \(x\)の係数が偶数なので,派生型の方を使います。

\( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{-(-25) \pm \sqrt{(-25)^2 - 1 \cdot 100}}{1} \\[5pt] &= 25 \pm \sqrt{25^2 - 4 \cdot 25} \\[5pt] &= 25 \pm \sqrt{25(25 - 4)} \\[5pt] &= 25 \pm 5\sqrt{21} \end{align} \)

\(x = 25 + 5\sqrt{21}\)のときは,\(y\)は次のように求められます。

\( \begin{align} y &= 50 - x \\[5pt] &= 50 - 25 - 5\sqrt{21} \\[5pt] &= 25 - 5\sqrt{21} \end{align} \)

\(x = 25 - 5\sqrt{21}\)のときは,\(y\)は次のように求められます。

\( \begin{align} y &= 50 - x \\[5pt] &= 50 - 25 + 5\sqrt{21} \\[5pt] &= 25 + 5\sqrt{21} \end{align} \)

これで2つの数の組み合わせとして,\(25 + 5\sqrt{21}, \ 25 - 5\sqrt{21}\)\(25 - 5\sqrt{21}, \ 25 + 5\sqrt{21}\)が得られました。

しかし,よく見ると両者は同じ組み合わせです。 式の上では\(x\)\(y\)は区別されてきたので,\(x, y\)の入れ替わった2つの解が得られたのです。 実際には\(x, y\)の区別に意味はないので,得られた2つの解は全く同じ組み合わせになったのです。

以上から,求める2つの数は\(25 + 5\sqrt{21}, \ 25 - 5\sqrt{21}\)です。


ちなみに,最後の\(y\)を求める計算は,次のようにまとめてもOKです。

\( \begin{align} y &= 50 - x \\[5pt] &= 50 - (25 \pm 5\sqrt{21}) \\[5pt] &= 50 - 25 \mp 5\sqrt{21} \\[5pt] &= 25 \mp 5\sqrt{21} \\[5pt] \end{align} \)