2次関数は2次式の関数ですから,2次関数についていろいろ調べていると,2次式の方程式が現れることもあります。 それを2次方程式といいますが,今回はその解法を解説します。
目次
因数分解による解法
2次方程式は2次式の方程式です。 中学でも習いましたね。 基本的な解法は,因数分解によるものです。 次の2次方程式を解いてみましょう。
これを解くには,まず左辺を因数分解します。
因数分解すると左辺が積の形になります。 積が\(0\)になるのは,かけた数の中に\(0\)がある場合だけですから,この式が成り立つのは,次の式のいずれかが成り立つ場合のみです。
それぞれの方程式を解くことで,この2次方程式の解が\(x = -2, -\displaystyle\frac{3}{2}\)であることが分かります。 このコンマは「または」の意味です。 \(x\)がこのどちらかの場合のみ,方程式が成り立つということです。
このように,整式の形をした方程式を解くときは,「整式\(= 0\)」の形にして因数分解するのが基本です。
因数分解すると左辺が積の形になります。 積が\(0\)ということは,かけた数,つまり因数のどれかが\(0\)ということです。 「因数\(= 0\)」という方程式に分解できるわけですね。
2次方程式であれば,因数分解すれば2つの1次方程式に分解できるので,簡単に解けるわけです。
解の公式
2次方程式を解くときには因数分解するのが基本ですが,因数分解って難しいですよね。 そもそも有理数の範囲では因数分解できない2次式もあります。
これでは不便なので,一般に使える公式を作りましょう。 次の2次方程式を解きます。
2次方程式なので\(a \neq 0\)です。 結論を先にいうと,公式は次のようになります。 計算はその後で確認していきます。
2次方程式\(ax^2 + bx + c = 0\)は,\(b^2 - 4ac \geqq 0\)のとき実数解をもち,その解は次の通り:
ただし,\(b^2 - 4ac < 0\)の場合は「実数解なし」となる。
それでは,2次方程式\(ax^2 + bx + c = 0\)を解いていきましょう。 まずは最高次である\(x^2\)の係数を簡単にするため,両辺を\(a\)で割ります。 2次方程式なので,\(a \neq 0\)ですから,両辺を\(a\)で割ることができるんですね。
次に,\(x\)を含む項が\(x^2, x\)の2つあって面倒なので,左辺を平方完成します。
次に,左辺が\(x\)を含む項だけ,右辺が\(x\)を含まない項だけになるように分離します。
この方程式の左辺は\(0\)以上なので,右辺が\(0\)以上のときにしか実数解はありません。 右辺の分母は正ですから,右辺が\(0\)以上になるのは\(b^2 - 4ac \geqq 0\)のときですね。
このとき,左辺の2乗をはずすことができます。 2乗するとある数になるものを平方根といい,\(\sqrt{\quad}\)をつけて表すんでしたね。
上の式変形では\(\sqrt{a^2} = |a|\)を利用していますが,次の行では絶対値が消えています。 それは,絶対値記号の前に符号\(\pm\)があるからです。
\(|a|\)の絶対値を外すと,\(a\)または\(-a\)になります。 なので\(\pm |a|\)は,\(\pm a\)または\(\mp a\)になります。 しかし,今回のように符号の順番に意味がない場合は,\(\pm a\)も\(\mp a\)も同じ組み合わせであり,両者に違いはありません。
したがって,\(\pm |a| = \pm a\)と変形できたわけです。
あとは左辺の定数項をどかして終わりですね。
ちゃんと公式が求められましたね。
解の公式には,よく使われる次の派生型があります。 \(x\)の係数が偶数の場合の公式です。
2次方程式が\(ax^2 + \textcolor{red}{2b'}x + c = 0\)という形をしているとき,解の公式は次の形になります。
\(x\)の係数が偶数の場合は,普通に解の公式を使うと,約分箇所が出てきます。 それをあらかじめ考慮した公式ですね。 \(x\)の係数を\(2b'\)としているので,公式中では\(x\)の係数の半分を使っていることになります。
この公式を覚える必要はありませんが,使いこなすと計算が楽になります。 たまには意識して使ってみると良いかもしれません。
解の公式には\(-\displaystyle\frac{b}{2a}\)と\(\displaystyle\frac{\sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}\)というパーツが登場します。 これは,関数\(y = ax^2 + bx + c\)のグラフを考えると,前者は軸で,後者は軸から\(x\)切片までの距離です。

2次関数のグラフ,つまり放物線は,軸を対称軸として左右対称です。 ですから,軸から\(x\)切片までの距離は,左側でも右側でも変わりません。
2次方程式の解の公式は,2次関数の値が\(0\)になるような\(x\)の値,つまり\(x\)切片を求める公式でもあるので,「"軸の座標" \(\pm\) "\(x\)切片までの距離"」という形をしているわけです。
確認問題
次の方程式を解いてください。
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\(x^2 = 4x - 3\)
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\(x(6x - 5) = -1\)
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\(x^2 + x + 2 = 3\)
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\((x + 1)^2 + x(x + 2) = 0\)
答え
まずは方程式を「整式\(= 0\)」の形に整理し,因数分解か解の公式で解きましょう。
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方程式を整理すると,次のようになります。
\( \begin{align} x^2 - 4x + 3 = 0 \end{align} \)左辺を因数分解すると,次のようになります。
\( \begin{align} (x - 1)(x - 3) = 0 \end{align} \)積が\(0\)ということは,因数のどちらかは\(0\)です。 なので,「因数\(= 0\)」を解くことで方程式の解が求められ,その解は\(x = 1, 3\)です。
解の公式を使った場合は,次のようになります。 \(x\)の係数が偶数なので,派生型の方を使ってみます。
\( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{2 \pm \sqrt{2^2 - 1 \cdot 3}}{1} \\[5pt] &= 2 \pm \sqrt{1} \\[5pt] &= 2 \pm 1 \\[5pt] &= 2 + 1, 2 - 1 \\[5pt] &= \textcolor{red}{3, 1} \end{align} \) -
方程式を整理すると,次のようになります。
\( \begin{align} 6x^2 - 5x &= -1 \\[5pt] 6x^2 - 5x + 1 &= 0 \end{align} \)左辺を因数分解すると,次のようになります。
\( \begin{align} (2x - 1)(3x - 1) = 0 \end{align} \)積が\(0\)ということは,因数のどちらかは\(0\)です。 なので,「因数\(= 0\)」を解くことで方程式の解が求められ,その解は\(x = \displaystyle\frac{1}{2}, \displaystyle\frac{1}{3}\)です。
解の公式を使った場合は,次のようになります。
\( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{-(-5) \pm \sqrt{(-5)^2 - 4 \cdot 6 \cdot 1}}{2 \cdot 6} \\[5pt] &= \displaystyle\frac{5 \pm \sqrt{1}}{12} \\[5pt] &= \displaystyle\frac{5 \pm 1}{12} \\[5pt] &= \displaystyle\frac{5 + 1}{12}, \displaystyle\frac{5 - 1}{12} \\[5pt] &= \textcolor{red}{\displaystyle\frac{1}{2}, \displaystyle\frac{1}{3}} \end{align} \) -
方程式を整理すると,次のようになります。
\( \begin{align} x^2 + x - 1 = 0 \end{align} \)左辺の因数分解が難しそうなので,解の公式を使います。
\( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{-1 \pm \sqrt{1^2 - 4 \cdot 1 \cdot (-1)}}{2 \cdot 1} \\[5pt] &= \textcolor{red}{\displaystyle\frac{-1 \pm \sqrt{5}}{2}} \end{align} \)
ちなみに,解が求められたことで,左辺が次のように因数分解できることが分かります。
\( \begin{align} \left(x - \displaystyle\frac{-1 + \sqrt{5}}{2}\right)\left(x - \displaystyle\frac{-1 - \sqrt{5}}{2}\right) \end{align} \) -
方程式を整理すると,次のようになります。
\( \begin{align} x^2 + 2x + 1 + x^2 + 2x &= 0 \\[5pt] 2x^2 + 4x + 1 &= 0 \end{align} \)左辺の因数分解が難しそうなので,解の公式を使います。 \(x\)の係数が偶数なので,派生型の方を使ってみます。
\( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{-2 \pm \sqrt{2^2 - 2 \cdot 1}}{2} \\[5pt] &= \textcolor{red}{\displaystyle\frac{-2 \pm \sqrt{2}}{2}} \end{align} \)
ちなみに,解が求められたことで,左辺が次のように因数分解できることが分かります。
\( \begin{align} \left(x - \displaystyle\frac{-2 + \sqrt{2}}{2}\right)\left(x - \displaystyle\frac{-2 - \sqrt{2}}{2}\right) \end{align} \)
次の方程式を解いてください。
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\(\displaystyle\frac{3x}{x^2 + 1} = 1\)
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\(|x|^2 + |x| - 2 = 0\)
答え
式を整理して「整式\(= 0\)」の形をつくることから始めます。 式変形の際には,それが同値変形になっているか,つまり,式変形を逆方向にたどれるかに注意が必要です。
例えば,\(x + 1 = 2\)という方程式を考えるとき,式変形として両辺に\(0\)を掛けてみましょう。 このとき,方程式は\(0 = 0\)になり,\(x\)の値に関わらず式が成り立つようになります。 したがって,この方程式の解はすべての実数である・・・とは,当然できません。
この式変形の問題点は,逆にたどれないことです。 式変形として両辺に\(0\)を掛けたので,逆の計算とは両辺を\(0\)で割ることですが,それは「\(0\)割り禁止」というルールに反するため不可能なのです。
逆にたどって元の式に戻れないということは,もはや元の式とは別物であるということです。 方程式の変形の際,特に両辺に何か式を掛ける場合などは,十分に気を付けましょう。
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方程式が分数の形になっているので,両辺に分母と同じ式を掛けて,分母を払いましょう。
\( \begin{align} 3x = x^2 + 1 \end{align} \)ここで,式変形を逆方向にたどれることが重要です。 逆方向の計算とは,両辺を\(x^2 + 1\)で割ることですが,\(x^2 + 1\)は常に正であり,\(0\)にならないので,それが可能なのです。
引き続き,式を整理していきます。
\( \begin{align} x^2 - 3x + 1 = 0 \end{align} \)これで見慣れた2次方程式になりました。 左辺の因数分解は難しそうなので,解の公式を使って解を求めてしまいましょう。
\( \begin{align} x &= \displaystyle\frac{-(-3) \pm \sqrt{(-3)^2 - 4 \cdot 1 \cdot 1}}{2 \cdot 1} \\[5pt] &= \textcolor{red}{\displaystyle\frac{3 \pm \sqrt{5}}{2}} \end{align} \) -
方程式に絶対値があるので,場合分けして絶対値を外しましょう。 \(x \geqq 0\)のとき\(|x| = x\),\(x < 0\)のとき\(|x| = -x\)ですね。
[1] \(x \geqq 0\)の場合:
方程式は次のようになります。\( \begin{align} x^2 + x - 2 = 0 \end{align} \)左辺を因数分解すると,次のようになります。
\( \begin{align} (x + 2)(x - 1) = 0 \end{align} \)これを解くと\(x = -2, 1\)ですが,いま考えているのは\(x \geqq 0\)の場合です。 この条件に当てはまる解は\(x = 1\)だけですね。
[2] \(x < 0\)の場合:
方程式は次のようになります。\( \begin{align} x^2 - x - 2 = 0 \end{align} \)左辺を因数分解すると,次のようになります。
\( \begin{align} (x + 1)(x - 2) = 0 \end{align} \)これを解くと\(x = -1, 2\)ですが,いま考えているのは\(x < 0\)の場合です。 この条件に当てはまる解は\(x = -1\)だけですね。
以上から,この方程式の解は\(x = -1, 1\)です。
足すと\(50\),掛けると\(100\)になる2つの数は何でしょうか?
答え
求める2つの数を\(x, y\)とおきましょう。 そうすると,この問題は次の連立方程式で表せます。
見慣れない形の連立方程式かもしれませんが,「文字を減らす」という方針はいつでも変わりません。 いわゆる加減法は使えそうにないので,代入法を使います。
1つめの式は\(y = 50 - x\)と変形できますから,これを2つめの式に代入しましょう。
左辺を因数分解するのは難しそうなので,解の公式で\(x\)を求めます。 \(x\)の係数が偶数なので,派生型の方を使います。
\(x = 25 + 5\sqrt{21}\)のときは,\(y\)は次のように求められます。
\(x = 25 - 5\sqrt{21}\)のときは,\(y\)は次のように求められます。
これで2つの数の組み合わせとして,\(25 + 5\sqrt{21}, \ 25 - 5\sqrt{21}\)と\(25 - 5\sqrt{21}, \ 25 + 5\sqrt{21}\)が得られました。
しかし,よく見ると両者は同じ組み合わせです。 式の上では\(x\)と\(y\)は区別されてきたので,\(x, y\)の入れ替わった2つの解が得られたのです。 実際には\(x, y\)の区別に意味はないので,得られた2つの解は全く同じ組み合わせになったのです。
以上から,求める2つの数は\(25 + 5\sqrt{21}, \ 25 - 5\sqrt{21}\)です。
ちなみに,最後の\(y\)を求める計算は,次のようにまとめてもOKです。