空間図形第 1 回

直線と直線の位置関係

はじめに

今回からは空間図形を学びます。 平面から空間へと舞台が変わることで,直線と直線の関係も考え直す必要があります。

目次

直線と直線の位置関係

平面図形では,直線と直線の位置関係には,大きく分けて次の\(2\)つがありました。

  1. \(1\)点で交わる
  2. 平行(交わらない)

「垂直に交わる」なども思い付くかもしれませんが,これは「\(1\)点で交わる」場合に含まれます。

さて,空間図形でも似たような位置関係が考えられそうです。 例えば,次図のような場合,直線と直線は\(1\)点で交わります。

図中の緑色の四角形は,この\(2\)直線を含む平面を表しています。 今まで考えてきた平面図形の世界を,斜め上から見たものと考えてください。

補足 平面の表現

上図では,緑色の平面が有限の広さに見えますが,実際は無限に広がるものだと考えてください。

平面を図に表すとき,平面を無限に広く描いてしまうと,図の背景がすべて緑色になるだけで,もはや平面の図だと認識できなくなってしまいます。 それを防ぐために,あえて有限の広さで平面を表現するのです。

このように,空間図形とはいっても,空間の中に平面を見つけることができれば,結局平面図形と同じことが考えられます。

同様に平行も考えられます。 \(2\)直線が同じ平面上にあって,交わらないとき,それらの直線は平行であるといいます。

ここまでは\(2\)直線が同じ平面上にある場合を考えてきました。 その場合,平面図形と同じように考えられます。

しかし,\(2\)直線は必ずしも同じ平面にあるとは限りません。 次図のように,\(2\)直線が同じ平面上にないとき,それらはねじれの位置にあるといいます。

上図では,一方の直線は緑の平面上にありますが,他方はその平面上にありません。 どんな平面を考えても,これらの直線を同時に載せることはできません。

これは,もはや平面図形としては考えられません。 実際,平面図形に「ねじれの位置」なんてありませんでした。

空間図形での直線と直線の位置関係をまとめると,次のようになります。

位置関係 同一平面上 交点
\(1\)点で交わる
平行 ×
ねじれの位置 × ×

平面図形で\(2\)本の直線を考えるとき,それらのなす角が重要な情報でした。 次項ではその空間図形バージョンを考えましょう。

直線と直線のなす角

直線と直線がねじれの位置になければ,それらは同一平面上にあるのでした。 このとき,平面図形と同じように考えることができますから,それらのなす角も同一平面上で考えれば良いです。

だから空間図形でも,直線と直線が平行であるときは,それらのなす角を考えることはできません。

では,空間図形で新たに登場した「ねじれの位置」はどうでしょうか? 次図のような場合ですね。

ねじれの位置も平行と同じく,直線と直線の交点がありません。 しかし,それらのなす角は考えられます。

一方の直線を平行移動して,もう一方の直線と交点を持つようにします。 次図の青い線は,緑の平面上にない方の直線を平行移動したものです。

このとき,青い点で交わる\(2\)本の直線は,同一平面上にありますから,それらのなす角を考えられます。 次図は,この\(2\)直線とそれらの同一平面を図示したものです。

少し角度を変えて,平行移動前の直線も見えるようにすると,次図のようになります。

このように空間図形では,直線が直接交わっていなくても,平行移動して\(1\)点で交わるのなら,それらのなす角を考えられます。 直線と直線が平行である場合には,どんなに平行移動をしても角をなしませんから,注意しましょう。

ちなみに,垂直や直交など,平面図形で使ったなす角に関する言葉は,空間図形でも同じように使えます。

補足 空間図形

数学Aでは図形を初等幾何的に(純粋な図形問題として)扱います。 しかし,空間図形はまず描くのが大変なので,初等幾何的に扱うのが難しいこともあります。

その点,今後学ぶベクトルや座標空間は扱いやすいため,初等幾何はやりたくない!という意見も多いと思います。 ですが,ベクトルや座標空間を使うと,計算量は増える傾向にあります。

問題の状況によって,最も適切な(楽な)解き方は変わります。 様々な状況に対応できるように,初等幾何的な扱い方も学んでおくと良いと思います。

確認問題

次の\(1\)辺の長さを\(a\)とする立方体\(\mathrm{ABCD}-\mathrm{EFGH}\)について,次の(1)~(3)に答えてください。

  1. \(\mathrm{AE}\)とねじれの位置にある辺をすべて求めてください。

  2. 線分\(\mathrm{BG}\)と辺\(\mathrm{AB}\)のなす角を求めてください。

  3. 対角線\(\mathrm{AG}\)の長さを求めてください。

答え

空間が考えづらければ,平面を抜き出して考えると良いです。

  1. \(\mathrm{AE}\)とねじれの位置にある直線は,\(\mathrm{AE}\)と同一平面上にないものです。 言い換えれば,共有点を持たず,平行でもない直線です。

    まずは\(\mathrm{AE}\)と共有点を持つ辺を除外していきましょう。 除外する辺を青で表すと,次図のようになります。

    次に\(\mathrm{AE}\)と平行な辺を除外してきます。 除外する辺を緑で表すと,次図のようになります。

    というわけで,残った辺である\(\mathrm{BC}\)\(\mathrm{CD}\)\(\mathrm{FG}\)\(\mathrm{GH}\)が辺\(\mathrm{AE}\)とねじれの位置にある辺です。

  2. 図を確認すると,次の通りです。

    空間図形に慣れていれば,見てすぐに直角だと分かりますが,別の見方もしてみましょう。

    次図のように\(\mathrm{BG}\)と平行な\(\mathrm{AH}\)\(\mathrm{AB}\)と平行な\(\mathrm{GH}\)を考えます。

    ここで,四角形\(\mathrm{ABGH}\)は平行線で囲んだ平行四辺形ですが,図形の対称性を考えれば長方形であることが分かります。 したがって,その内角は直角ですから,\(\mathrm{BG}\)\(\mathrm{AB}\)のなす角は直角です。

  3. 前問で見た通り,\(\triangle\mathrm{ABG}\)は直角三角形です。 \(\mathrm{BG}\)が正方形\(\mathrm{BCGF}\)の対角線であることを考えると,\(\mathrm{BG} = \sqrt{2}a\)です。

    したがって,三平方の定理より,\(\mathrm{AG}\)の長さが求められます。

    \( \begin{align} \mathrm{AG} &= \sqrt{\mathrm{AB}^2 + \mathrm{BG}^2} \\[5pt] &= \sqrt{a^2 + (\sqrt{2}a)^2} \\[5pt] &= \sqrt{3a^2} \\[5pt] &= \textcolor{red}{\sqrt{3}a} \end{align} \)